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えほんインク

世界中の不良少年たちに贈る『おごだでませんように』~大人はわかってくれない~

5歳~
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絵本で泣くなんて初めてでした。しかも大人になってからです。

泣かせようという悲しい物語ではないのに泣いてしまいました。
どうして泣いてしまうのか何度も読み返しました。何回読み返しても涙が出てきます。
世界中の不良へ届けたい、実話をもとにした珠玉の絵本です。

歯を食いしばって横を向く少年

表紙絵は歯を食いしばって何かを我慢している少年の横顔。

「ホントのことなんて、ぜったいに言ってやるもんか。
どーせわかってくれないに決まってる」

そんな思いで押し黙ったまま横を向いていた時期、
私はけっこう長かったし、今でもときどきそうなります。

正しいと思ってやったはずなのに、自分のやったことをきちんと説明できないことが少なくありません。繰り返すうちに周囲はそんな奴だという目で見るようになります。

そのうちに

「どーせ俺は……」

となったり、

わかってくれない周囲が悪いと思ったりもします。そのたびに環境を変えてきました。
家を出て、職場を変え住居を変えたその数二十数回。

都会にはいろいろな大人がいて、わかってくれる人もいたし、もっとわからない人もいました。

本や映画、美術品などに学ぶことの方が多かったかもしれません。

そのせいか、相変わらずキチンと人と向き合えないでいます。

そんな自分を踏まえて、
せめて子供たちに対しては、わかってやれる大人でありたいと思ってはいます。

この本に出てくる先生のように。

絵本で泣くなんて初めてでした。

泣かせようという、悲しい物語ではないのに……。
どうして泣いてしまうのか何度も読み返しました。
何回読み返しても涙が出てきます。
世界中の不良たちへ届けたい絵本です。

ページの間が抜群イイ!

率直な感想として、この絵本の特色は、ページの間にあると思いました。

間・余白に美をの見出すのは日本人特有の感性かも知れません。水墨画や襖絵、和歌・俳句などはその最たるもので、絶妙の構図と余白の緊張感が絵を引き締めるし、少ない文字数から行間に思いを巡らすことができます。

描き過ぎない、語りすぎずシンプルなストーリーで、ほぼ予想通りにすすむ「おごだでませんように」ですが、ためて、ためてためて、クライマックスを迎えます。

そこでボロボロ涙がこぼれました。

世界中の不良少年たちへ

ほんの少しのボタンの掛け違いに理不尽を抱えなければならないことがたくさんあります。

明らかな間違いを押し付けられることも少なくありません。根拠の不透明な同調圧力はとても厳しいものです。子供の頃は「うさぎ跳び」をやらされていたし、バケツを持って廊下に立たされることも正座させられることもありました。後の時代になって、膝関節を傷めたり発育上よろしくないとわかり消滅しました。

体育会系のクラブ活動、担任の先生による体罰や依怙贔屓は日常茶飯事でした。嫌いな先生の方が多くて学校が嫌いになりました。だから進路を決めるとき、先生にだけはなりたくないと思いました。

子どもは常に弱い立場にいて、わからないからこそ学校や家庭で学びます。

だから、子どもたちに間違いを押し付けてはいけません。じっくり検討して、教える立場としての命懸けの責任を持って伝えましょう。

子供は立場的に弱いから、疑問を持ったとしてもNOをいえないのです。

理不尽を呑み込まされ、自虐を刷り込まれたまま年齢を重ねていく人が、これ以上増えませんように。

そんなつもりでそうしたわけじゃない

籠った空気を入れ替えようと窓を開けたら閉まらなくなりました。

普段開けない窓を勝手に開けるからだと、設備管理のおじさんに怒られました。

開けるなとは書いていなかったし、コロナで換気が必要だといったら換気扇で十分だと語気を強めました。厚労省の感染対策指針によれば、換気扇だけでは不十分とあったような気がしたのですが……。

ある図書館での話です。

子どもの頃の理不尽に自分を黙らせたことは数知れません。よかれと思ってやったことが裏目にでたり「やってはいけません」と言われなければどんなことでもやってみたりして怒られてばかりでした。

この本のように、1人でもわかってくれる大人に出逢えると幸運です。
誰も応えてくれない「どうして」をつまびらかに解説できる大人に成れているでしょうか?

呑み込みすぎた理不尽にがんじがらめになって、物事を色眼鏡で見てるかも知れません。生き物として、身体が欲するものを食し、心が欲することのために考えて行動したいてものです。

本を読むことは大切だと改めて思わせてくれた一冊でした。

おこだでませんように [ くすのき しげのり ]

大人はわかってくれない

フランソワ・トリュフォー1959年の長編映画デビュー作でトリュフォーの自伝的要素が濃い作品です。

学校では先生に叱られてばかり、家庭では口論が絶えない息苦しい毎日を過ごす12歳の少年の物語。

ある日学校をさぼって出かけた街で、見知らぬ男と抱き合う母親の姿を目撃してしまいます。

シリーズ5作目まで制作されました。

「大人はわかってくれない」

というタイトル作品は数多くあります。大人もまた「俺たちの子ども時代は……」なんて常套文句になっています。それくらいそれが一般的で、一般的に馴らされていくうちに、いつの間にか人生が過ぎてしまいます。手遅れにならないうちに、気づいたら行動すべし!

DVD▼あこがれ 大人は判ってくれない【字幕】
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