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読み聞かせにいいらしい『どろぼうがないた』とはどんな絵本?魅力と基本情報

5歳~
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作: 杉川としひろ
絵: ふくだ じゅんこ
出版社: 冨山房インターナショナル

発行日: 2007年10月
推定対象年齢:2年生~

おおきな鼻と無精ひげに囲まれた泥棒の顔と、さわやかな色合いに魅かれて手に取った『どろぼうがないた』

北欧の風景を彷彿とさせる色彩で展開する物語は短い文章でわかりやすく軽妙です。

「へぇ~、日本人が描いたんだ」と思わせる絵本『どろぼうがないた』を紹介します。

『どろぼうがないた』の3つの魅力とは?

北欧の風景を思わせる柔らかい色彩とダイナミックな泥棒の顔のコントラストが絶妙な表紙絵。絵本の中で泥棒がどう行動して、どんな物語が展開するのでしょう。

ここでは『どろぼうがないた』の魅力を解説します。

柔らかい色彩と随所に見られるこだわり

非常に色彩の美しい絵本です。お花畑の中でカンバスに向かう大きな赤鼻のおじさん。無精ひげでずんぐりむっくり。決してハンサムではありませんが、どことなく愛嬌があって幸せそうに見えます。

この幸せなお花畑の風景と『どろぼうがないた』というタイトルとどう結びつくのでしょう?

そんな疑念を抱きつつ開くと、ストーリーに合わせて絵の雰囲気も、本の読ませ方も変わっていきます。そして、どろぼうも少しずつ変わっていきます。

魅力的な表紙絵の一冊の絵本が開かれて、ページを捲るごとに物語はワクワクと展開。そして、最後に表紙絵に帰結するという見事なまでの演出に脱帽です。

短くわかりやすい文章で読み聞かせしやすい

道徳教育の教材としても使われている絵本です。ということは、あらゆる点でバランスがよいのでしょう。実際に読み聞かせするにも、一つひとつの文章が短いため聞き手が理解しやすい特徴があります。

しっかりした構成でさりげなく社会問題が扱われている点も特筆に値します。比較的大きめのサイズの絵本なので、絵をみんなに見せながら読み進めることも可能です。

読み聞かせにはうってつけの絵本といえるでしょう。

さりげなく扱う2つの重いテーマ

この絵本では、「あらそい」と「いのち」という重厚なテーマが扱われています。どちらも人として生きていく以上、向き合わなければならない問題であり、なかなか簡単には説明できません。

こうしたテーマを扱うと、物語が重くなり悲壮感が漂いがちですが『どろぼうがないた』はさわやかな色彩とコミカルなタッチの絵によって、スピーディに展開していきます。悲壮感よりは生命力が前面に押し出され、しかもそのスタンスも決して押しつけがましくないのです。

このさりげなさこそが『どろぼうがないた』の魅力でしょう。

『どろぼうがないた』の大まかなあらすじ


どろぼうがないた [ 杉川としひろ ]

泥棒という職業があるのかどうかわかりませんが、とにかく泥棒で生計をたてている中年から壮年にかけての一人暮らしの男が、あることをきっかけに改心していく物語です。

おおきな鼻と無精ひげの泥棒は、町から離れた丘の上で一人暮らしをしていました。ずっとひとりぼっちですが、寂しいと思ったことも悲しくて泣いたこともありません。

冷たい心の持ち主で、楽しみといえば家の両側の窓から見えるお城を眺めることくらい。自分のお城のように見えるからです。そして夜な夜な町にでかけてはお金持ちの家から宝物を盗んでいました。

そんなある日、盗んだ箱の中に植木鉢を発見します。しかもみずみずしい芽が出ていました。

ここから、泥棒の生活が変わっていきます。

この後、さまざまな展開が見られて最後に泥棒が泣きます。なぜ泣いたのかは、実際に手に取ってお読みいただけると幸いです。

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『どろぼうがないた』の基本情報

タイトルどろぼうがないた
原作者杉川としひろ
ふくだじゅんこ
発行所出版社: 冨山房インターナショナル
発行日:
推定対象年齢:
発行日2007年10月
推定対象年齢2年生~
ページ数30頁
大きさ縦25㎝ 横26.5㎝

作者紹介/杉川としひろ・ふくだじゅんこ

杉川としひろ

1975年鳥取県に生まれる。鳥取県立保育専門学院卒業後、保育士として5年間働く。保育士のかたわらオリジナルのあそび唄を多数制作していた。元保育士による男性3人のバンド「うたう動物園」のリーダーであり、ソロとしても「ウタイグミ」の名で活動している。全国の保育園や幼稚園で公演をしながら、保育雑誌に楽曲を提供。「どろぼうがないた」が初めての絵本作品となる。

ふくだじゅんこ

1961年岐阜県に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科を卒業後、グラフィックデザイナーを経て絵本作家となる。武井武雄記念日本童画大賞にて2000年に奨励賞を受賞。2000~2002年にボローニャ国際絵本原画展入選。2004年、ヨゼフ・ヴィルコン記念大分国際絵本原画展佳作、第5回ピンポイント絵本コンペにて最優秀賞を受賞。他作品に「あまいね、しょっぱいよ」がある。

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