保育士として欠かせない業務のひとつに絵本選びや読み聞かせがあります。子どもたちを楽しませる目的はもちろん、自身の心に訴える作品に出逢うこともあるため、楽しい業務の一つです。
しかし、自己流でやみくもに選んだり読み聞かせたりするだけでよいのか、と疑問も持つことはないでしょうか?
それぞれの絵本に適齢期があり、また子ども一人ひとりに対しての適性もあります。
保育士としてのスキルアップを目指すなら、絵本や読み聞かせに関する知識を深め、絵本に関する資格を取得することが必要でしょう。
この記事では、保育士が持っていたい絵本に関する3つの資格の概要と取得方法、費用について詳しく解説します。
保育士としてのスキルアップにもなる絵本の資格12選
子供たちが楽しんで読書をするためには、大人の方が適切な絵本を選び、読み聞かせを行うスキルが不可欠です。以下は、保育士はもちろん子育て奮闘中の方や図書事業に携わっている方向けの絵本にかんする資格の一覧です。
- 認定絵本士
- 絵本専門士
- 絵本講師
- 絵本コーディネーター
- JPIC読書アドバイザー
- JPIC読み聞かせサポーター
- 絵本よみきかせマイスター
- 絵本セラピスト
- 児童図書相談士
- 子育て絵本アドバイザー
- 絵本ソムリエ
- チャイルドコーチングアドバイザー
それぞれ主催団体独自の民間資格ですが、絵本に関する知識と読み聞かせの技術、絵本を通した教育プログラムの作成など、幅広いスキルが身に着く点は共通しています。
この記事では、上記のうち比較的認知度の高い3つの資格「認定絵本士」「絵本専門士」「絵本講師」の概要と取得方法・費用について解説します。
1. 認定絵本士とは

認定絵本士とは、絵本の魅力を深く学び、絵本に関する多くの知識を持っていることを証明できる資格です。国立青少年教育振興機構によって認定される資格であり、大学や短大・専門学校のカリキュラムを終了すれば取得できます。
認定絵本士の資格取得は、主に以下の3つの分野についての学びを深めます。
1. 絵本の歴史や教育等の知識、絵本のジャンル、児童福祉や心理について
2. 手遊びや読み聞かせなどの技術、楽しい運営のノウハウ
3. 絵本を通じたケアや制作の現場についての理解を深め、感性を磨く
認定絵本士の資格取得方法
認定絵本士の資格を取得するには「認定絵本士養成講座」を受講しなければなりません。「認定絵本士養成講座」とは、絵本専門士委員会の定めたガイドラインに基づいた講座であり、認定を受けた学校でのみ受講できます。
家政科や児童教育に力を入れている大学・短大・専門学校が該当し、日本女子大学や昭和学院短期大学・名古屋芸術大学など幅広い選択肢があります。
詳しくは、国立青少年教育振興機構の公式サイトから下記PDFにてご確認ください。
なお、2025年3月時点の認定機関においては、日本女子大学通信教育課程のみが通信制となります。
認定絵本士の資格取得費用
認定絵本士の資格取得費用は授業料に含まれるため、各教育機関の授業料に準じます。具体的な費用は各教育機関によって異なります。
下記は、日本女子大学通信教育過程の一例です。
選考料 | 11,000円 |
入学金 | 30,000円 |
保険料 | 480円 |
テキスト科目履修1単位 | 8,500円 |
スクーリング科目履修(講義・演習)1単位 | 10,000円 |
スクーリング科目履修(実習・実技)1単位 | 20,000円 |
なお、上記データより更新されている可能性もあります。下記公式サイトにてご確認ください。
2. 絵本専門士とは?

絵本専門士とは、その名の通り、絵本に関する高度な知識と技能を持つ専門家として認定される資格です。「認定絵本士」と同様、独立行政法人国立青少年教育振興機構によって設立された資格であり、また「認定絵本士」からスキルアップされた資格といえます。
絵本専門士は絵本のプロフェッショナルとして、絵本の読み聞かせやワークショップの企画・運営を行い、子どもたちの読書活動を支援します。
絵本専門士の資格取得方法
絵本専門士の資格は「絵本専門士養成講座」の受講によって取得できます。「絵本専門士養成講座」の受講期間は7〜8ヶ月間にわたり、月イチの土日に行われるため、お勤めの方にとっては取得しやすい資格といえるでしょう。全講座終了後に修了課題が課せられ、クリアしたら「絵本専門士」として認定されます。
絵本専門士の資格取得の条件
「絵本専門士」の資格も「認定絵本士」同様に講義を受けるだけで取得できますが、受講するためには下記の条件をクリアしておかなければなりません。
- 子供や絵本に関連する資格を持っている
- 絵本に関わる実務経験が3年以上
- 絵本に関わる活動経験が3年以上
- 絵本学や児童文学、美術について研究実績がある
保育士や小学校教員はもちろん、大学や短大・専門学校での「認定絵本士」を経てすぐに「絵本専門士」の資格取得を目指す方が少なくありません。また、絵本の編集や読み聞かせ活動を3年以上続けてから応募する主婦の方も多く、人気の高い資格です。なお、2025年度の応募は3月3日で締め切られますが、例年同時期に応募期間が設けられています。
詳しくは、国立青少年教育振興機構のこちらのページをご覧ください。
絵本専門士の資格取得費用
絵本専門士養成講座の2025年度の受講料は税込みで80,000円です。ただし、交通費や宿泊費は別途負担となります。ちなみに2025年度の受講場所は国立オリンピック記念青少年総合センターです。遠方の方にとっては、月イチ土日の交通費・宿泊費が嵩むと思われますが、それだけの価値がある極めて専門性の高い資格です。活躍の場も、大いに広がるでしょう。
3. 絵本講師とは?

絵本講師の資格は、絵本を通じて子どもの教育や発達に貢献したいと考える人々にとって重要なスキルです。絵本講師の資格取得者は、教育現場や家庭で絵本を用いた効果的な教育支援を行うことができると共に、国内外での講演要請を受けて幅広く活躍できます。
2025年3月の段階で、絵本講師を主催する団体は「NPO法人絵本で子育てセンター」と「一般財団法人絵本未来創造機構」の2種類です。それぞれに特徴がありますが、絵本の専門的な知識や読み聞かせの技術の習得により、子どもの健全な育成を目的とする点は共通しています。
「NPO法人絵本で子育てセンター」による絵本講師資格
「NPO法人絵本で子育てセンター」では、たくさんの絵本を紹介しながら実践的で具体的な講座を用意しています。子育て真っ最中の親御さんはもちろん、ボランティアで読み聞かせ活動中の方や保育士・学校の先生方にも人気の高い資格です。
例年、東京と大阪で年6回の講習を受講、講習後に随時課題レポートを提出することで資格取得できます。受講費用は88,800円。2025年度第22期生募集の残席はわずかとなっています。詳しくは下記ページをご参照ください。
「一般財団法人絵本未来創造機構」による絵本講師資格取得方法
「一般財団法人絵本未来創造機構」は、公式サイトによると2020年に設立された比較的新しい団体です。EQという、時代の潮流に合致したキーワードと共に国内外での多数の講演実績により高い知名度を誇ります。すでに1,000名ほどのEQ絵本講師が活躍していますが、講演依頼に対しまだまだ不足気味とのことです。
詳しくは下記ページをご参照ください。
大人も泣いてしまう!読み聞かせにピッタリの絵本7選
上記「絵本講師」を取得して活躍されている方が「大人の方とこそ、気軽に絵本のよさを語り合いたい」とお話しているのを聞いたことがあります。
そこでここでは、大人も泣いてしまうほど素晴らしい、読み聞かせにピッタリの絵本を7冊紹介させて戴きます。
それぞれにクリックすると詳細記事へとジャンプします。ご参照のうえ、購入をご検討いただけると幸いです。
絵本に関する資格を取得して活躍の場を広げよう!
保育士としてのスキルアップを目指すなら、絵本に関する資格を取得することは非常に有益です。絵本専門士、認定絵本士、絵本講師の3つの資格は、それぞれ異なる特徴と取得方法がありますが、いずれも保育士としての専門知識を深め、子どもたちの成長を支援するために役立ちます。活躍の場が広がることも間違いありません。
資格取得には一定の費用がかかりますが、その投資は将来的なキャリアアップや子どもたちへの質の高い保育に繋がります。もちろん、ご自身や周囲の大人の方のリフレッシュと気付きにも役立つでしょう。
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