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絵本によるジェンダーバイアスはある?「~らしさ」への憧れと偏見・固定観念へのへ懸念

絵本豆知識
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絵本は子どもたちにとって初めて触れる物語の世界であり、想像力を育む大切なツールです。色とりどりのイラストや魅力的なキャラクターを通じて、子どもたちは言葉や価値観、社会のルールを少しずつ学んでいきます。

しかし、絵本の中にはジェンダーバイアスや固定観念が含まれている場合があり、それが子どもたちの意識形成に影響を与えることがあります。本記事では、絵本におけるジェンダーバイアスの現状や、「~らしさ」がどのように描かれているのかを考察し、偏見を解消するための方法について探っていきます。

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絵本におけるジェンダーバイアスとは?

ジェンダーバイアスとは、性別に基づく偏見や固定観念を指します。たとえば「男の子は強くたくましくあるべき」「女の子は優しくおしとやかであるべき」といった考え方です。これらのバイアスは家庭や学校、メディアを通じて無意識のうちに浸透し、子どもたちの性別役割観に影響を与えます。

絵本の男性キャラクターと「男らしさ」

絵本においても、男性キャラクターが冒険心に富んだリーダーとして描かれる一方で、女性キャラクターが家庭的で受動的な役割にとどまるような設定が少なくありません。

多くの絵本では、男性キャラクターが勇敢で力強い存在として描かれることがあります。例えば、ドラゴンを倒す騎士や困難に立ち向かう冒険者などが典型的な例です。このような描写は、「男らしさ」を肯定的に表現しているように見えますが、一方で「感情を表に出してはいけない」「失敗を恐れてはならない」といったプレッシャーを子どもたちに与える可能性もあります。

絵本の女性キャラクターと「女らしさ」

女性キャラクターはしばしば美しさや優しさを強調される役割に描かれることがあります。例えば、助けを待つお姫様や、家事をこなす母親的なキャラクターなどです。これらの描写は、「女性は受動的であるべき」「他者に尽くすことが美徳」という固定観念を助長する可能性があります。

また、性別にとらわれない中性的なキャラクターや、多様な性別表現を持つキャラクターは依然として少数派です。このため、ジェンダーに対する多様な視点を提供する機会が限られているといえます。

ジェンダーバイアスが子どもたちに与える影響

絵本から学ぶ価値観や役割観は、幼少期の子どもたちに無視できない影響を与えます。ポジティブな観点からは、絵本の主人公に憧れて真似をすることが成長につながったり、視野を拡げるきっかけになったりします。また、将来への漠然とした夢の形成にも大いに役立つでしょう。

しかしその反面、比較的ジェンダーバイアスの強い絵本作品ばかりを選んでいると「~らしさ」が固定され、行動やコミュニケーション、将来の職業選択を狭める可能性も否定できません。「女だから○○」「男のくせに」などの自己制御・多様性への理解不足に陥らないよう注意が必要です。

ジェンダーバイアスによる自己制限

子どもたちは「自分は男だからこうあるべき」「自分は女だからこれをしてはいけない」といった思い込みを抱く可能性があります。こうした思い込みが、将来の職業選択や人間関係に影響することは少なくありません。

男の子の将来のなりたい職業上位は「パイロット」「サッカー選手」、女の子は「保育士」や「看護師」が多く、これらの職業から逆に男性、女性を想像する傾向もあります。

多様性への理解不足

ジェンダーの多様性や柔軟な価値観に触れる機会が少ない場合、社会全体で求められる包括的な視点を持つことが難しくなります。  自分とは異なる性別の人々に対して固定観念を持つようになり、他者とのコミュニケーションや共感能力が制限されることもあるでしょう。

誰か一人が「○○君は男らしくない」「○○ちゃんは男みたい」と口にしただけで同調圧力が発生し、仲間外れにしたり、あるいは逆に孤立してイジメられたりイジメたりすることもあります。

ジェンダーバイアスと現実生活との関係

ジェンダーバイアスは生活のあらゆるシーンに存在するため、特定のある分野のそれが悪いということではありません。実際、子どものジェンダー認識にもっとも影響を及ぼすのは現実の家庭生活といわれています。「子は親の背中を見て育つ」とは昔からの諺であり、家事全般を小まめに手伝う父親の元で育った男の子は、やはり同じように家事全般を手伝います。絵本のジェンダーバイアスに対しても多様性の一つとして捉え、むしろ世界観が拡がるでしょう。

つまり、現実生活と照らし合わせて世界観を拡大させるような作品、異なる視点から描かれた作品を選ぶことで子どものジェンダーステレオタイプを回避することができるのではないでしょうか?

子どもの世界観の拡大と多様性への理解は、絵本の主たる役割といってよいでしょう。もちろん絵本を選ぶ際に最優先されるのは子どもの欲求です。しかし、現実生活と照らし合わせながら、また、固定観念の刷り込みにならないようバランスを考えることも必要です。

固定観念を解きほぐす2つのポイント

ジェンダーステレオタイプが必ずしも悪いわけではありませんが、固定観念に縛られて行動や思考が拡がらないのは成長を妨げる可能性があります。したがって、成長過程においてはあらゆる事象を受け入れるような視点や思考を育むのが望ましいでしょう。下記、2つのポイントが、その一助となれば幸いです。

性別と役割を超えた絵本選び

ジェンダーステレオタイプのがちがちの固定観念をほどくためには、多様な価値観や役割モデルを提供する絵本を選ぶことが重要です。例えば「女の子が冒険する話」や「男の子が感情豊かに描かれる話」、あるいは性別の明記のない中性的生物の物語など、従来の性別役割にとらわれないストーリーを積極的に取り入れることで、子どもたちの視野を広げることができます。

以下のような作品はジェンダーへの固定観念を覆すきっかけとなるのではないでしょうか?

1967年の発行から何世代にもわたって愛され続けてきた名作「ぐりとぐら」。性別に関係なく作ることと食べることの大切さ楽しさを満喫できる絵本です。

「おおきいかさ」  赤い傘は誰が来ても拒まずに入れてみんなに居場所を作ってあげます。そしてそのたびに傘が大きくなっていきます。さまざまな家族の在り方についても描写しており、多様性を理解をしやすい絵本です。

児童文学作家の中脇初枝さんが昔話を再話した「女の子の昔話えほん」シリーズは必読です。いろんな女性が主役となり、へこたれずに自分なりの幸せを掴んでいきます。きっと、これまでの昔話への先入観が覆されるでしょう。





親や教師による補足説明

絵本を読み聞かせる際には、大人が内容について補足説明を加えることも有効です。「このキャラクターはこうだけれど、本当は男の子でも女の子でも何でもできるんだよ」といった形で、多様な可能性を示すことで固定観念を和らげることができます。

ジェンダーを超えた「自分らしさ」を生きる:コンプレックスを乗り越えた3人の実例

絵本を通じて「~らしさ」に触れることは、子どもたちにとって自己認識や社会的役割を学ぶ最初のステップとなります。しかし、「男らしさ」「女らしさ」といった固定観念が、時に制限やプレッシャーとして作用することもあります。また、「~らしさ」に憧れ、それを目指して努力する過程で人は成長し、最終的には「自分らしさ」を見つけることができるのも事実です。

ここでは、子どもの頃に抱えたコンプレックスを乗り越え、大成した3人の実在の人物を取り上げます。それぞれ「女の子らしくない」「男らしくない」「そのどちらでもない」という異なる背景を持ちながら、最終的に自分らしい生き方を切り開いた彼らの物語を通じて、「~らしさ」と向き合う大切さについて考えてみましょう。

「女の子らしくない」と言われた少女が開いた新たな道:澤穂希さん

元サッカー日本女子代表キャプテンである澤穂希さんは、幼少期から「女の子らしくない」と言われ続けてきました。彼女は男の子たちと一緒にサッカーを楽しむことが好きで、その姿が周囲からは「女の子らしい」とは見なされなかったのです。しかし、澤さんはその言葉に負けることなく、自分の好きなことに全力を注ぎました。

その結果、彼女は日本女子サッカー界のパイオニアとなり、2011年にはFIFA女子ワールドカップで日本を優勝に導くという快挙を成し遂げました。澤さんは「女の子らしさ」にとらわれず、自分の情熱を追求することで、世界に認められる存在となったのです。

「男らしくない」と悩んだ少年が創り出した新しい表現:村上春樹さん

作家の村上春樹さんは、幼少期から「男らしい」性格や行動とは距離がある少年でした。スポーツや社交的な活動よりも、一人で本を読むことや静かな環境で過ごすことを好んでいた彼は、そのことで周囲から「男らしくない」と見なされることもありました。

しかし、村上さんはその内向的な性格を否定することなく、自分自身を受け入れ、それを創作活動に活かしました。その結果、生まれた作品群は世界中で高く評価され、多くの読者に感動を与えています。「男らしさ」ではなく、自分自身の感性に忠実であることが、彼の成功の鍵となりました。

「どちらでもない」という視点から社会の壁を壊した:エリオット・ペイジさん

カナダ出身の俳優エリオット・ペイジさんは、トランスジェンダーとして自身のアイデンティティを公表しました。子どもの頃から「男性的」「女性的」という枠組みに違和感を抱いていた彼は自分が「どちらにも完全には当てはまらない」という感覚と向き合い、苦しんでいたそうです。

成長したエリオットさんは俳優として活躍する傍ら、LGBTQ+コミュニティの権利向上にも力を注ぎます。彼が公表した自身のストーリーは、多くの人々に勇気を与え、ジェンダーに関する固定観念を問い直すきっかけとなりました。「~らしさ」に縛られず、自分自身であり続けることが、社会に新しい視点をもたらしたのです。

「~らしさ」を超えて自分らしく

絵本や物語の中で描かれる「~らしさ」は、時に子どもたちに夢や希望を与える一方で、固定観念として作用する場合もあります。しかし、それを乗り越え自分自身と向き合うことで、人は本当の意味で「自分らしく」生きる力を得ることができるのです。

人間は生きている限り成長し続けます。昨日までの「自分らしさ」に飽きたら、新しい自分を構築していくことだって可能です。固定観念や偏見の打破は、むしろ大人の方にこそ必要なのかも知れません。

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私たち大人にできることは、子どもたちが「~らしさ」に縛られることなく、自分自身を自由に表現できる環境を整えることです。その一つの方法として、多様な価値観や生き方の描かれた絵本や物語を選んであげましょう。

一方的に流される情報だけではなく、ときには自ら情報収集に努めることも大切です。次世代を担う子どもたちが「自分らしさ」を大切にし、仲良くみんなで成長していける社会が来ることを願ってやみません。

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