絵本選びは子どもの発達段階に応じた重要なアプローチ方法の一つです。年齢別に最適な絵本を見つけることで子どもの成長をサポートできると共に、その反応において日々の成長を目の当たりにすることになるでしょう。
ここでは、0歳～5歳、そして5歳以上の子どもたちに適した絵本の選び方について解説します。それぞれのカテゴライズは過去データによる平均値から得られた目安に過ぎません。子どもの成長には個人差がありますので、さまざまな選択肢をお試しください。
記事終盤ではおすすめの絵本も紹介しています。参照のうえ、購入をご検討いただけると幸いです。
絵本が年齢別に分けられる理由
絵本には対象年齢が記されていますが、これは子どもの発達段階に合った絵本がわかるようにするためです。一般的に子どもの発達は年齢で分けられ、その平均値を基準として成長の遅早が判断されます。絵本もそうした発育過程における平均値を基準に、出版社や作者自身によって分けられることがあります。
対象年齢に合う絵本を好むかどうかは本人次第であり、決して大人が強いるものではありません。しかし、発育進度に合った絵本選びの一つの指標にはなります。
絵本は子どもの興味関心を優先して選ぶ
絵本は子どもの興味関心を大切にし、大人から選んであげることが重要です。適切なチョイスによる反応で子どもの成長を推し量ることもできるでしょうし、新たな興味関心の発掘にもなります。
一方で「ももたろう」や「かぐや姫」などの昔話や名作は特別な魅力があり、絵本として幅広い年齢層に受け入れられます。こうした作品は逆に、受け取り方によって自身の成長を自覚できるでしょう。それがまた、名作と呼ばれる由縁です。
年齢別絵本の選び方｜0～3歳編
それでは、絵本を選ぶときの目安となる事例を年齢別にみていきましょう。まずは、0～1歳・1～2歳、そして2～3歳までの絵本の選び方について解説します。
0～1歳の子どもと一緒に楽しみたい絵本の選び方
0～1歳の子供向けの絵本は、親子の関わりを楽しむ大切なツールです。赤ちゃんは言葉を理解できませんが、五感を使って新しいことを学びます。焦らず、親子で絵本を楽しむことで、赤ちゃんは言葉と絵を結び付けるようになります。
おすすめの絵本は、色彩がはっきりしたものや繰り返しの言葉が多いものです。単純な形（まる・さんかく・しかく）や原色を使った絵が好まれます。また、ページが厚紙で角が丸いものは、安全で扱いやすいです。リズミカルな言葉や厚手の紙・布の絵本も、赤ちゃんが自分でめくりやすいため楽しめるでしょう。
下記をご参照ください。
1～2歳の子どもに読み聞かせたい絵本の選び方
1歳から2歳の子供は、単語が急増する時期です。絵本では「文章を読む」よりも、絵を指差しながら「単語を教える」形が効果的です。子供は自ら指差しをし、知りたいものや話したいことを繰り返し求めます。この時期の子供は知的好奇心が旺盛です。そのため、簡潔な文章や動物の鳴き声、リズム感のある言葉の載った絵本によって語彙を増やすチャンスともいえます。
ストーリー性の強いものはまだ少し早いかも知れませんが、簡単な起承転結のストーリーを理解できるようになる移行段階でもあります。身の回りのものの名前や特徴を紹介する絵本から始めて、徐々に移行していくのが理想的です。
また、絵本の角が丸く、ページが厚紙のものは安全で扱いやすいでしょう。1歳を過ぎると子供は歩き始め、周囲に興味を持つようになります。絵本を通じて新しいことを覚えることも楽しくなる時期です。
2～3歳の子どもに読み聞かせたい絵本の選び方
2歳から3歳の子供向け絵本の選び方は、生活環境に親しみやすい動物や食べ物をテーマにしたものが理想です。単語や固有名詞だけでは物足らなくなり、多少のストーリー性を求めるようになります。ストーリー性のある絵本は、大体3分程度で読めるものが目安です。「子ども自身が読みたい本」が増えてくる時期です。子どものお気に入りが登場する絵本を積極的に取り入れましょう。
日常生活に関連する内容（食べ物、睡眠、着替え、トイレなど）は子供の興味を引きやすく、大人にとっても細やかに説明してあげられます。また、主人公が失敗から立ち直るような絵本は、子供に勇気を与えるでしょう。
徐々に興味の対象が絞られていく時期です。色に興味を持ち始める子供には、色を覚える内容やクレヨンを題材にした絵本が喜ばれます。ユーモア溢れる絵本は子供の反応を引き出し、楽しい時間を提供します。さらに、自然への興味を刺激する絵本は、外遊びの前に読むと新たな発見を促すでしょう。
この時期は、ダダをこねるイヤイヤ期と呼ばれることもあります。イヤイヤ期に手が付けられないという場合、イヤイヤの結果を描いた絵本が意識を正すきっかけとなるかも知れません。
3歳～4歳の子どもに適した絵本の選び方
3歳になると、幼稚園や保育園に通い始める子どもが増え、言葉や外の世界への好奇心がこれまで以上に高まります。「なんで？」という質問が増える時期でもあり、周囲の大人や子供との関わりを通じて、より複雑な感情表現ができるようになるでしょう。
ここでは、想像力を育む絵本の選び方についてご紹介します。
展開を予想したくなる絵本
3歳児には、ストーリーに疑問を抱かせるような絵本が効果的です。子どもがストーリーに対して質問を投げかけることで、言葉のキャッチボールを楽しむことができます。例えば、「どうしてこのキャラクターはそうしたの？」など、物語を通して思考を深めるきっかけになります。
伝承的な絵本
「ももたろう」や「かぐや姫」など、日本の昔話や民話は、古き良き日本の文化を感じさせる素晴らしい教材です。これらの物語は、子供の心に長く残り、想像力を刺激するでしょう。伝承的な絵本を通じて、子どもは歴史や文化に触れ、感情を豊かに育むことができます。
「ももたろう」「かぐや姫」に関しては、下記の記事でも深く取り上げています。ご参照ください。
簡単な言葉遊びのできる絵本
言葉数が増える時期ですから、言葉のリズムで遊べる絵本が人気です。しりとりや韻を踏むような内容は、子どもの言葉のセンスを育てます。言葉遊びを通じて、さまざまな言葉に興味を持つきっかけを提供してあげましょう。この時期により多くの言葉を覚えることが、将来の自己表現の豊かさにつながります。
4～5歳の子どもにおすすめの絵本の選び方
4歳から5歳は、子供の成長において非常に重要な時期です。この時期の子供たちは、言葉の理解が深まり、感情の表現が豊かになり、周囲の世界に対する興味が増していきます。ここでは、4歳から5歳の子供に適した絵本の選び方についてご紹介します。
分野に詳しくなれる絵本
乗り物や動物、植物など特定のジャンルに特化した絵本は、子供の知識欲を刺激します。子供がどのような分野に興味を持っているかを知る手助けにもなります。興味を持つテーマに基づいた絵本を選ぶことで、より深く学ぶことができるでしょう。
感情移入できる絵本
4歳になると、子供は絵本の主人公の気持ちに共感しやすくなります。感情移入できる物語を選ぶことで、子供はさまざまな感情を体験し、自己理解を深めることができます。また、お化けが登場するような少し怖い話も、興味を引く要素となります。
想像の世界が広がる絵本
奇想天外なストーリーの絵本は、子供の想像力を広げる良い機会です。冒険やファンタジーの要素が含まれる物語は、子供を夢中にさせ、現実では考えられない世界への興味を引き出します。
赤ちゃんが生まれるストーリー性のある絵本
兄弟や姉妹が生まれることに対する不安や期待を扱った絵本は、4歳児にとって重要です。お兄ちゃんやお姉ちゃんとしての自覚を高め、家族の絆を深める役割を果たします。
キャラクターの絵本
子供が好きなキャラクターが登場する絵本は、興味を引きやすく、読み聞かせの際に楽しさを倍増させます。キャラクターの呼びかけに素直に応じることで、子供の理解力や共感力を育むことができます。
コミュニケーションが学べる絵本
友達との関係や、親子の信頼関係を深めるための絵本も重要です。人との関係を保つためのルールや、我慢しなければならない状況を描いた物語は、社会性を育む助けとなります。
子供の興味や成長に合わせて選び方を工夫し、楽しい時間を提供してあげましょう。
5歳から6歳の子どもにおすすめの絵本の選び方
5歳から6歳になると、自分で本を読むことができるようになる子どもも増えてきますが、時にはあえて大人が読み聞かせしてあげましょう。なぜなら、この時期の子供は文字を読むことに必死で、絵本の内容を想像して楽しむまでの余裕がなくなってしまうからです。
ここでは、5歳から6歳の子供に適した絵本の選び方についてご紹介します。
平和や生命など深いテーマをじっくり味わう
この年齢の子供は、周囲の大人や友達との関わりを通じて、言葉でのコミュニケーションが豊かになっていきます。絵本の世界も以前より深く味わえるようになり、保育園や幼稚園での自覚も芽生えてきます。家族や友達を大切にすることや、生命と平和について考えさせるテーマを選ぶと良いでしょう。以下ご参照ください。
言葉遊びの楽しさを伝える絵本
逆さ言葉や同音異義語、韻を踏む言葉遊びに興味を持ち始める頃です。さまざまな言葉に触れることで、国語力を伸ばすことができるでしょう。楽しい言葉遊びを通じて、子供の言語能力を育むことができます。
興味を深める絵本
この時期は、特定の分野に興味を持つ子供が多くなります。学習に役立つ「学習絵本」に加え、好きなキャラクターが登場する本や、習い事に関連する絵本も効果的です。図鑑や工作本を通じて、考え方ややり方を学ぶ力を養うことも大切です。
感情移入できるストーリーの絵本
5歳から6歳になると、絵本の内容がよりスケールアップします。主人公だけでなく、周りのキャラクターにも焦点を当てた物語を楽しむことができるようになります。様々な登場人物の性格や考え方を理解することで、友達との関係を重ね合わせることができるでしょう。
夢のある絵本
非日常的なファンタジーをテーマにした絵本は、子供の想像力を刺激します。独自の世界を楽しむことで、子供たちは発想を広げることができるでしょう。
メッセージ性のある絵本
5歳児は、絵本の伝えたいメッセージを自分のこととして受け止める力が備わってきます。平和や家族の大切さについて考えさせるような絵本を通じて、深い学びを得ることができます。
心を育む絵本
最年長としての自覚が芽生える5歳児には、登場人物の気持ちに寄り添うことで人を思いやる心を育む絵本が魅力的です。優しさや思いやりをテーマにした物語は、子供たちの心に響くことでしょう。
下記記事をご参照ください。
このように、5歳から6歳の子供には、想像力を育む多様な絵本があります。親子での読み聞かせの時間を大切にしながら、子供の興味や成長に合わせた絵本を選んであげましょう。
絵本は永遠の教材｜子どもの気持ち優先で選ぼう！
絵本は子どもたちが言葉の世界を広げ、豊かなコミュニケーション能力を身につけるための素晴らしい教材です。絵本選びは、子どもの発達段階に合わせて、子どもの変化を見極めながら慎重に行いましょう。
絵本を選ぶときに年齢はひとつの目安になりますが、何よりも大切なのは子どもの興味関心が何処に向いているかです。それを推し量るうえでも、絵本は重要な役割を示します。どうぞ一冊でも多くの絵本に触れて、子どもとの親密な時間を過ごし、ときには子供の時分に還ってみてください。
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